ご購入の前に
eSIMとは何か、これまでのSIMカードと何が違うのか
eSIMは製造されるのではなくダウンロードするSIMカードです。仕組みと、旅行で変わること、対応している端末をまとめます。
eSIMはこれまでのSIMカードそのもので、違いはひとつだけです。製造されるのではなく、ダウンロードされます。頭のeはembedded、つまり内蔵という意味で、チップは工場出荷の時点ですでに端末の中にはんだ付けされています。インストールするのは部品ではなく、プロファイルと呼ばれるファイルで、回線をネットワークに識別させる情報が入っています。
言い換えると、以前は小さなプラスチックをトレイに差し込む必要があったところが、いまはファイルをダウンロードするだけになりました。それ以外(エリア、速度、電話番号、料金)はまったく同じように動きます。
eSIMの仕組みを順番に
仕組みを知っておくと得です。あとから出てくる疑問のほとんどがここで説明できます。インストールになぜ通信が必要なのか、QRコードがなぜ一度しか使えないのか、そしてなぜ複数持てるのか。
- メーカーが端末の基板にeUICCチップをはんだ付けします。一度も使わなくても初日からそこにあります。
- 回線を契約すると、通信会社がプロファイルを生成します。回線の識別子、認証キー、ネットワーク情報が入った暗号化されたパッケージです。
- そのプロファイルはQRコードか有効化リンクとして渡されます。読み取ると端末が通信会社のサーバーに接続し、プロファイルを自分のチップにダウンロードします。
- それ以降、端末はそのプロファイルで基地局に自分を名乗ります。物理カードでやっていたのとまったく同じです。
重要なのは3番目です。プロファイルをダウンロードするにはインターネットが要ります。だからeSIMは搭乗口ではなく自宅のWi-Fiで入れるのですし、だからQRコードは一度きりなのです。プロファイルは一度だけ降りてきて、そのチップに割り当てられます。
物理SIMと比べて本当に変わること
わかりやすい見出しは「プラスチックがなくなった」です。使ってみて実感するのは別のことで、4つあります。
買えるときではなく、買いたいときに買える
現地SIMは現地で買います。店を探し、開くのを待ち、場合によってはパスポートを登録します。eSIMはソファで買えて、家を出る前に準備が終わります。週末旅行なら、着いた瞬間にデータが使えるか、初日の午前中を店探しでつぶすかの差です。
いつもの回線はどこにも行かない
eSIM対応端末は複数の回線を同時に持てます。ふつうは物理カード1枚とeSIMが1つ以上で、そのうち2つが同時に有効になります。旅行用eSIMは追加されるだけで、置き換えません。データがもう一方の回線を通っている間も、いつもの番号で着信もSMSも受け取れます。
なくす小さなカードがもうない
現地のカードを入れるために抜いたSIMは、ポケットかパスポートケースに入ったままになりがちです。それを置いてきてしまうのは思うより多く、番号を戻すのに何日もかかります。
カードを替えずにプランを替えられる
同じチップに複数のプロファイルを保存できます。前の旅行のもの、今回のもの、自宅の回線のものを持っておいて、必要なものを設定から有効にできます。
変わらないこと(買う前に知っておきたい点)
この業界の宣伝が事実を引き伸ばしがちなのがここなので、はっきり書いておきます。
- エリアは同じです。eSIMは同じ通信会社の物理カードと同じ基地局につながります。デジタルだから速いとか遠くまで届くということはありません。谷間で電波がないなら、どちらでもないのです。
- 別の料金プランではありません。回線の渡し方の違いです。支払う額と手に入る量を決めるのはプランであって、形式ではありません。
- 通信会社のロックを回避する手段にはなりません。ロックされた端末は他社のカードを受け付けないのと同じで、他社のeSIMも受け付けません。
- それだけで端末が安全になるわけでもありません。カードを抜き取られなくなるのは小さくない利点ですが、回線の安全は依然として通信会社とPINコードに左右されます。
eSIMと物理SIM、正直な比較
| eSIM | 物理SIM | |
|---|---|---|
| 手に入るタイミング | 数分で、自宅から | 到着後か、届いてから |
| 必要なもの | 対応端末とインターネット | 空いたトレイとピン |
| いつもの番号 | 端末の中に残る | トレイが1つなら外に出る |
| プランの変更 | 設定から | カードを入れ替えて |
| 端末を替えたとき | 入れ直しが必要 | 手で差し替え |
| 端末をなくしたとき | プロファイルも一緒に消える | 同じ |
最後の行は二度読む価値があります。eSIMは端末から抜けません。カードの盗難には強く、端末が壊れたときには弱いということです。旅先で端末を失うと、プロファイルは予備の端末に勝手には移りません。
どの端末がeSIMに対応しているか
おおざっぱには2019年以降に売られたものの大半です。iPhone XS、XR以降、Samsung Galaxy S20以降、Google Pixel 3以降、そしてXiaomiとHuaweiの最近の上位機種。販売された国によって例外があるので、一覧だけでは足りません。
効くのは端末自身の確認です。モバイル通信の設定にeSIMまたはデータプランを追加する項目が出るなら、対応しています。
iPhoneとAndroidの正確な手順と、端末がロックされている場合の対処はこちらです: 自分の端末がeSIMに対応しているか調べる方法.
旅行用eSIMが得になるとき
いつもではありません。回線が欧州連合の国のものなら、連合内のローミングはたいてい料金に含まれていて、これを上回るのは難しいです。それ以外の場合、とくに短い旅行では、eSIMは自分で元を取ります。出発前に価格が確定し、着いてから何かを見つけられるかどうかに左右されません。
3つの選択肢の全体比較と、それぞれが勝つ場面はこちらにまとめました: ローミング、eSIM、現地SIM.
よくあるご質問
eSIMを一言でいうと?
プラスチックで作られる代わりに、端末にすでにはんだ付けされているチップへファイルとしてダウンロードされるSIMカードです。ふつうのSIMと同じように動きます。同じ基地局、同じエリア、同じ種類の料金プランです。
eSIMは物理SIMよりエリアが広いですか?
いいえ。同じ通信会社の同じ基地局につながるので、エリアも速度も同じです。変わるのは回線の渡し方であって、動き方ではありません。
eSIMといつものSIMを同時に使えますか?
はい。対応端末は複数の回線を持て、そのうち2つを同時に有効にできます。旅行では通話とSMSをいつもの回線に、データをeSIMに任せるのが一般的です。
端末を替えたらどうなりますか?
プロファイルは勝手には移りません。新しい端末に入れ直す必要があります。QRコードは一度きりなので、すでに使っていた場合は提供元に新しいものを頼むことになります。
eSIMのインストールにインターネットは必要ですか?
はい。端末がプロファイルをダウンロードする必要があるので、その瞬間はWi-Fiかデータ通信が要ります。だから現地に着いてからではなく、出発前に自宅で入れるほうがよいのです。